網膜硝子体手術とは
網膜硝子体手術(硝子体手術)は、眼底出血や網膜剥離などの目の奥の様々な病気に対して行う手術です。出血を取り除いたり、網膜に処置を加えたり、目の中にガスを充填することで網膜機能の回復をはかります。当院には入院設備がありますので、予定手術であれば、日帰りでも入院でも手術を行うことが可能です。入院期間は最長で2泊3日となります。
日帰り硝子体手術の対象となる方
- 術後、過ごし慣れた自宅の環境で休みたい方
- 仕事、家事に早期復帰したい方
- 育児、介護、ペットの世話などで、家を空けることのできない方
- 緊急の手術でベッドが確保できない場合
入院硝子体手術がおすすめの方
- 術後見えにくい状態で家に帰るのが不安な方
- 仕事、家事から離れ、病室でゆっくり休みたい方
- 術翌日の通院が困難で、通院の負担を減らしたい方
- 1回の入院 で両目の手術を終わらせてしまいたい方
手術内容
1麻酔をして消毒
点眼による麻酔を行い、目の周り、目の中をしっかり消毒します。
2硝子体手術のための準備
硝子体手術をするための麻酔を追加します。白内障手術を一緒にする場合はまずは白内障手術を行います。
その後、白目(強膜)に小さな穴を3〜4ヶ所あけ、手術用器具を挿入するための通路を作ります。
3硝子体切除
硝子体を細かく切除しながら吸引して除去します。必要に応じて網膜に処置を加えたり、レーザー照射を行います。
4ガスの充填、閉創
網膜剥離や黄斑円孔などの場合は、目の中にガスを充填して、傷を閉じて手術を終了します。
ガスを注入した場合は、術後数日間、うつ伏せなどの姿勢を維持する必要があります。
網膜硝子体手術が適応となる目の病気
網膜裂孔・網膜剥離
網膜裂孔ができて、目の中で出血をすると急に視界がかすむようになります。出血の程度により、一部分だけがかすんだり、視界全体がかすんでほとんど見えなくなることもあります。様子を見ていたら良くなるだろうと思って放置をしていると網膜剥離になってしまう場合があります。出血などで網膜裂孔にレーザー治療ができない場合や、すでに網膜剥離を生じている場合は手術が必要になります。
眼底出血
加齢黄斑変性や糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症や網膜細動脈瘤の破裂などで眼底出血を起こすと急に視界の一部がかすんでみえなくなることがあります。出血が多いと視界全体が見えなくなることもあります。出血の自然吸収が期待できない場合は手術が必要になります。
黄斑上膜
黄斑上膜は黄斑という網膜の真ん中に薄い膜がはってくる病気です。膜が収縮することで網膜をひっぱりシワを作ります。物がゆがんで見えたり、物が大きく見えたり、視力が低下したりします。自然に治ることはないため、症状の程度に応じて、膜を取り除く手術が必要になります。
黄斑円孔
黄斑円孔は黄斑という網膜の真ん中に孔が開く病気です。網膜はカメラでいうフィルムの役割をしていますので、孔が空いている部分には映像は映りません。つまり、視界のちょうど中心が見えなくなります。ごく一部の例外を除いて自然に治ることはなく、早めの手術治療が必要になります。
水晶体脱臼・眼内レンズ脱臼
水晶体や眼内レンズを支える組織が切れてしまい、水晶体や眼内レンズが傾いたり、眼底に落下したりする状態です。レンズがうまく機能しないためピントが合わず、ぼけて見えるようになります。自然に治ることはありませんので、硝子体手術で、脱臼した水晶体や眼内レンズを取り出し、新しい眼内レンズを挿入し、固定する必要があります。
網膜硝子体手術の流れ
1手術前検査とご説明
手術に必要な検査を行い、手術内容や、術前・術後の注意点について詳しくご説明いたします。
2手術日の決定
患者様のご希望を伺い、手術日を決定します。日帰り手術か入院手術かを決定します。
3術前点眼の開始
(手術日の3日前)
手術3日前から抗菌薬の点眼を開始していただきます。
4手術当日
予約時間に来院していただきます。手術予定時間の1時間半ほど前から手術の準備として点眼が始まります。
進行具合により予定時間が前後することがあります。手術で目の中にガスを充填した場合は回復室で1時間程度うつ向きになってもらう場合があります。ガスを入れていない場合は回復室で30分程度安静にしていただき、問題なければ帰宅していただきます。
入院の方
入院の方も手術日当日の予約時間に来院していただきます。病室にて手術予定時間の1時間半ほど前から手術の準備として点眼が始まります。
進行具合により予定時間が前後することがあります。手術で目の中にガスを充填した場合は回復室で1時間程度うつ向きになってもらう場合があります。ガスを入れていない場合は手術後は病室へ戻り30分程度安静にしていただきます。
5術後の診察
手術翌日の朝に来院していただき、術後経過を診察をします。手術後の1週間は術翌日を含め、通常3回ほど、診察のため来院していただきます。
それ以外のタイミングであっても、異常を感じた場合は当院へご連絡ください。
入院の方
退院する日の朝まで毎朝診察があります。退院の日は10時までに退院してください。退院時に次回外来予約について説明いたします。
退院後に異常を感じた場合は当院へご連絡ください。
網膜硝子体手術後の注意点
体位制限がある場合があります。
網膜剥離や黄斑円孔など一部の硝子体手術では手術終了時に目の中にガスを充填します。網膜機能の回復を促すため、術後にうつ伏せが必要になったり、横向きになったりする必要があります。一般的にはうつ伏せは3日以内に解除となる場合が多いですが、病状により異なります。
また、ガスが目の中に入っている間は、気圧の低いところへ行くと目の中のガスが膨張し、目がパンパンに腫れてしまうため飛行機に乗ったり、登山をすることはできません。どのような姿勢が適しているか、どのような注意点があるかは手術終了時にスタッフから説明させていただきますので、守るようお願いします。ガスが入らない場合は体位制限はありません。
スマホ、テレビ、読書
スマホ、テレビ、読書などで目を使う行為は術後直後から制限なく行えます。ただし、手術をした目は眼帯をつけていますので使うことはできません、体位制限がある場合でも、うつむきしながらスマホで動画を見るなど、体位制限を守りながら目を使っていただくことは可能です。
首から下のシャワー、入浴
首から下のシャワー、入浴であれば術翌日から可能です。ただし、長時間の入浴は血流が良くなり炎症が悪化する原因となりますのでお控えください。
仕事・家事
不潔にならない仕事・家事であれば術翌日から可能です。砂埃が舞う環境などでは制限が長くなることもありますので、詳しくは医師にお尋ねください。
車の運転
目にガスが入っている状態では運転はできません。ガスが入っていない場合は、裸眼もしくは眼鏡装用下で、両目での視力が0.7以上あれば、車の運転は再開していただけます。ただし、術後に手持ちの眼鏡が合わなくなっている方は、眼鏡を更新するまで運転はお控えください。また、見え方が変わり距離感が掴みにくくなることもありますので、近場の運転から慣らしていくなど、十分注意してください
洗顔・洗髪
術翌日の診察で、手術の傷口に問題がなければ術後2日目から洗顔・洗髪をしていただけます。ただし、洗顔も洗髪もシャワーから直接出るお湯をお使いください。手のひらや洗面器に溜めた水には雑菌が入りますので使用は控えてください。術後1週間目の診察で問題なければ気にせず、洗顔・洗髪していただけます。
飲酒
飲酒は血流を良くして炎症を悪化させる恐れがありますので、術直後はお控えください。術後3日目から飲酒していただけます。
激しい運動
目の中にガスが入っている場合や乱視用のレンズを使った白内障同時手術をした場合は、激しい運動により予期せぬ合併症がでる恐れがありますので、少なくとも術後2週間程度は激しい運動はお控えください。ウォーキング程度であれば、デスクワーク、家事と同程度の負荷ですので、術翌日から可能です。
アイメイク・化粧
軽いお化粧であれば術後3日目からしていただけます。ただし、目周囲の化粧やアイメイクは目の中に異物が入り、結膜炎や感染を起こす原因となりますので通常は術後1週間程度はお控えください。手術の内容によっては1か月程度お控えいただくことがあります。
プール・温泉・畑仕事
プール・温泉・畑仕事は気をつけていても目に雑菌が入りやすい環境です。術後2週間程度は避けてください。手術の内容によっては1か月程度お控えいただくことがあります。
術後の日常生活の制限をまとめた表が下記になります。
手術当日 |
翌日 |
2日後 |
3日後 |
2週間後 |
1か月後 |
|
スマホ・テレビ・読書 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
シャワー・入浴(首から下) | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
仕事・家事 | × | △ | △ | △ | △ | ○ |
運転 ※1 | × | △ | △ | △ | △ | ○ |
洗顔・洗髪 | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
飲酒 | × | × | × | ○ | ○ | ○ |
運動 ※2 | × | × | × | △ | △ | ○ |
アイメイク・化粧 ※2 | × | × | × | △ | △ | ○ |
プール・温泉・畑仕事 ※2 | × | × | × | × | △ | 〇 |
体位制限 ※3 | あり | あり | あり | あり | なし | なし |
※1 ガスが入っていない方、両目での視力が0.7以上出ている方に限ります。
※2 手術内容によって制限が長くなることがあります。詳しくは医師にお尋ねください。
※3 目の中にガスを入れた場合のみ。病状によって制限期間が異なります。詳しくは術後に説明があります。
網膜硝子体手術後の費用の目安
網膜硝子体手術は保険適用です。
日帰り手術の場合、
負担割合 | 片眼 |
---|---|
1割負担の方 | 約30,000~60,000円 |
2割負担の方 | 約60,000~120,000円 |
3割負担の方 | 約90,000~180,000円 |
※費用は病状により異なる場合があります。
※入院の場合は1泊につき+2,000〜5,000円程度(食費込)の費用がかかります。
高額療養費制度について
高額な医療費で医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、その超えた分が払い戻される制度である『高額療養費制度』をご利用いただける可能性があります。
年齢や所得に応じて、自己負担限度額が定められており、条件を満たすことで、負担をさらに軽減できる場合があります。
高額療養費制度の申請方法や詳細については、厚生労働省のホームページ「高額療養費制度を利用される皆さまへ」 をご確認ください。
また、生命保険に加入されている方は、手術給付金特約や先進医療特約が付帯されている場合、給付金を受け取れることがあります。
詳しくは、ご加入の生命保険会社にお問い合わせください。