当院の日帰り緑内障手術
緑内障は眼圧(眼球内の圧力)のため視神経が痛んでくる病気です。視神経が痛むと視野が欠けてきます。
一度失ってしまった視野は手術をしても取り戻すことは出来ません。眼圧が高いために視野が悪化していくので、眼圧を下げることが治療の基本となります。まずは点眼で眼圧を下げることを目標としますが、点眼で十分に眼圧が下がらない場合は手術で眼圧を下げる必要があります。 手術の種類によって眼圧を下げる効果や合併症の頻度は様々です。
当院では様々な緑内障手術に対応しており、病状に合わせて最適な緑内障手術を提案いたします。また、入院設備もありますので、予定手術であれば、日帰りでも入院でも手術を行うことが可能です。入院期間は最長で2泊3日となります。
日帰り緑内障手術の対象となる方
- 術後、過ごし慣れた自宅の環境で休みたい方
- 仕事、家事に早期復帰したい方
- 育児、介護、ペットの世話などで、家を空けることのできない方
- 緊急の手術でベッドが確保できない場合
入院緑内障手術がおすすめの方
- 術後見えにくい状態で家に帰るのが不安な方
- 仕事、家事から離れ、病室でゆっくり休みたい方
- 術翌日の通院が困難で、通院の負担を減らしたい方
- 手術内容により頻回の術後通院が必要となる方
当院で行える
緑内障手術の種類
レーザー手術(パターンレーザー線維柱帯形成術)
開放隅角緑内障に対しては点眼治療だけでなく、レーザー治療を行うこともできます。
当院では術後合併症が少ないレーザー光凝固装置(PASCL)を採用してします。レーザ照射により発生する温熱効果で、房水の流れを良くし眼圧を下げることができます。治療に伴う合併症が少ないのが特徴ですが、手術費用がかかることと眼圧を下げる効果に個人差が大きいことがデメリットになります。外来処置室で10分程度で行うことができます。
手術療法
手術療法は、目薬で眼圧が十分にコントロールできない場合や進行した緑内障に対して行われます。また、目薬のアレルギー等で薬物療法が継続できない人に対しても行うことがあります。
眼内ドレーン挿入術(iStent:アイステント)
目詰まりを起こして房水の流れの悪くなった線維柱帯に、チタン製の小さな筒状のデバイス「iStent」を埋め込みます。iStentの内部を通って房水が排出されるようになるため眼圧を下げることができます。眼圧を下げる効果は控えめですが、低侵襲で安全性が高いのが特徴です。白内障手術と同時に行うことが義務付けられているため、すでに白内障手術を受けておられる方は選択できません。手術時間は白内障手術と合わせて15分〜20分程度です。低侵襲緑内障手術:MIGSと呼ばれる手術に分類されます。
線維柱帯切開術(マイクロフックトラベクロトミー)
目詰まりを起こして房水の流れの悪くなった線維柱帯を、専用の器具で切開し流出抵抗を減らすことで房水が流れを良くします。iStentと同様に眼圧を下げる効果は控えめですが、低侵襲で安全性が高いのが特徴です。すでに白内障手術を受けておられる方でも選択できます。手術時間は10分〜15分程度です。低侵襲緑内障手術:MIGSと呼ばれる手術に分類されます。
線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)
目詰まりを起こした線維柱帯の一部を切り取って穴をあけ、結膜の下に房水が流れるように新たな排水口を作る手術です。眼圧を下げる効果は大きいですが、視力低下、低眼圧、感染など他の緑内障手術に比べ合併症の頻度が高くなります。また、術後適切な眼圧を維持するための処置が必須となるため、他の緑内障手術に比べると術後通院頻度が多くなります。手術時間は30分〜1時間程度です。
プリザーフロ®︎マイクロシャント
トラベクレクトミーと同様に結膜の下に房水が流れるように新たな排水口を作る手術ですが、線維柱帯に穴をあけるのではなく、代わりにマイクロシャントと呼ばれるストロー状のインプラントを挿入します。トラベクレクトミーと比べて眼圧を下げる効果はやや劣りますが、合併症の頻度は比較的少なく術後通院の頻度も少なくてすみます。ただし、相性の悪い緑内障のタイプがあり、そういった方にはプリザーフロ®︎マイクロシャントの使用を避けることもあります。手術時間は20分〜40分程度です。
アーメド緑内障バルブ(ロングチューブシャント手術)
プリザーフロ®︎マイクロシャントと同様にシャントを眼内へ挿入して新たな排水口を作る手術ですが、シャントの出口にシリコーン製のプレートが付いており、そのプレートに向かって房水を流します。眼圧が下がりすぎないよう房水の流れを調節する機能があるので、低眼圧による合併症が起きにくいことが特徴です。他の目の手術を受けたことがあるなど、特殊な状況下で眼圧が十分コントロールできてない緑内障に用いることが多いです。手術時間は30分〜1時間程度です。
緑内障手術の流れ
1手術前検査とご説明
手術に必要な検査を行い、手術内容や、術前・術後の注意点について詳しくご説明いたします。
2手術日の決定
患者様のご希望を伺い、手術日を決定します。日帰り手術か入院手術かを決定します。
3術前点眼の開始
(手術日の3日前)
手術3日前から抗菌薬の点眼を開始していただきます。
4手術当日
予約時間に来院していただきます。手術予定時間の1時間半ほど前から手術の準備として点眼が始まります。進行具合により予定時間が前後することがあります。手術後は回復室で30分程度安静にしていただき、問題なければ帰宅していただきます。
入院の方
入院の方も手術日当日の予約時間に来院していただきます。病室にて手術予定時間の1時間半ほど前から手術の準備として点眼が始まります。進行具合により予定時間が前後することがあります。手術後は病室へ戻り30分程度安静にしていただきます。
5術後の診察
手術翌日の朝に来院していただき、術後経過を診察をします。手術後の1週間は術翌日を含め、通常3回ほど、診察のため来院していただきます。それ以外のタイミングであっても、異常を感じた場合は当院へご連絡ください。
入院の方
退院する日の朝まで毎朝診察があります。退院の日は10時までに退院してください。退院時に次回外来予約について説明いたします。退院後に異常を感じた場合は当院へご連絡ください。
緑内障手術後の注意点
スマホ、テレビ、読書
スマホ、テレビ、読書などで目を使う行為は術後直後から制限なく行えます。ただし、手術をした目は眼帯をつけていますので使うことはできません。
首から下のシャワー、入浴
首から下のシャワー、入浴であれば術翌日から可能です。ただし、長時間の入浴は血流が良くなり炎症が悪化する原因となりますのでお控えください。
仕事・家事
不潔にならない仕事・家事であれば術翌日から可能です。砂埃が舞う環境などでは制限が長くなることもありますので、詳しくは医師にお尋ねください。また、眼圧が極度に低い期間は重いものを持ち上げるといった力が入る動作を避けていただくことがあります。
車の運転
裸眼もしくは眼鏡装用下で、両目での視力が0.7以上あれば、車の運転は再開していただけます。ただし、術後に手持ちの眼鏡が合わなくなっている方は、眼鏡を更新するまで運転はお控えください。また、見え方が変わり距離感が掴みにくくなることもありますので、近場の運転から慣らしていくなど、十分注意してください
洗顔・洗髪
術翌日の診察で、手術の傷口に問題がなければ術後2日目から洗顔・洗髪をしていただけます。ただし、洗顔も洗髪もシャワーから直接出るお湯をお使いください。手のひらや洗面器に溜めた水には雑菌が入りますので使用は控えてください。術後1週間目の診察で問題なければ気にせず、洗顔・洗髪していただけます。
飲酒
飲酒は血流を良くして炎症を悪化させる恐れがありますので、術直後はお控えください。術後3日目から飲酒していただけます。
激しい運動
眼圧が極度に低い期間は、体に力を入れることで、予期せぬ合併症がでる恐れがありますのでその間は激しい運動はお控えください。ウォーキング程度であれば、デスクワーク、家事と同程度の負荷ですので、術翌日から可能です。
アイメイク・化粧
軽いお化粧であれば術後3日目からしていただけます。ただし、目周囲の化粧やアイメイクは目の中に異物が入り、結膜炎や感染を起こす原因となりますので通常は術後1週間程度はお控えください。手術の内容によっては1か月程度お控えいただくことがあります。
プール・温泉・畑仕事
プール・温泉・畑仕事は気をつけていても目に雑菌が入りやすい環境です。術後2週間程度は避けてください。手術の内容によっては1か月程度お控えいただくことがあります。
術後の日常生活の制限をまとめた表が下記になります。
手術当日 |
翌日 |
2日後 |
3日後 |
2週間後 |
1か月後 |
|
スマホ・テレビ・読書 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
シャワー・入浴(首から下) | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
仕事・家事 | × | △ | △ | △ | △ | ○ |
運転 ※1 | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
洗顔・洗髪 | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
飲酒 | × | × | × | ○ | ○ | ○ |
運動 ※2 | × | × | × | △ | △ | ○ |
アイメイク・化粧 ※2 | × | × | × | △ | △ | △ |
プール・温泉・畑仕事 ※2 | × | × | × | × | △ | △ |
※1 両目での視力が0.7以上出ている方に限ります
※2 手術内容によって制限が長くなることがあります。詳しくは医師にお尋ねください。
緑内障手術の費用の目安
緑内障手術は保険適用です。
日帰り手術の場合、
手術内容 | 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 |
---|---|---|---|
レーザー線維柱帯形成術 | 10,000円 | 20,000円 | 30,000円 |
眼内ドレーン挿入術(iStent:アイステント) 白内障手術費用を含む |
30,000円 | 60,000円 | 90,000円 |
線維柱帯切開術(マイクロフックトラベクロトミー) | 16,000円 | 32,000円 | 48,000円 |
線維柱帯切除術(トラベクレクトミー) | 25,000円 | 50,000円 | 75,000円 |
プリザーフロ®︎マイクロシャント | 36,000円 | 72,000円 | 108,000円 |
アーメド緑内障バルブ(ロングチューブシャント手術) | 47,000円 | 94,000円 | 141,000円 |
※費用は病状により異なる場合があります。
※入院の場合は1泊につき+2,000〜5,000円程度(食費込)の費用がかかります。
高額療養費制度について
高額な医療費で医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、その超えた分が払い戻される制度である『高額療養費制度』をご利用いただける可能性があります。
年齢や所得に応じて、自己負担限度額が定められており、条件を満たすことで、負担をさらに軽減できる場合があります。
高額療養費制度の申請方法や詳細については、厚生労働省のホームページ「高額療養費制度を利用される皆さまへ」 をご確認ください。
また、生命保険に加入されている方は、手術給付金特約や先進医療特約が付帯されている場合、給付金を受け取れることがあります。
詳しくは、ご加入の生命保険会社にお問い合わせください。
よくある質問
緑内障は手術で治りますか?
緑内障は手術で治ることはありません。緑内障で失われた視野は戻ることはありません。
手術の目的は、眼圧を下げることです。眼圧を下げることで緑内障の進行を遅くすることが目的となります。
緑内障の目薬をしていますが手術をした方がいいですか?
緑内障治療の基本は目薬になります。
目薬も手術も眼圧を下げる目的で行います。緑内障手術には少なからずリスクを伴いますので、目薬で十分に緑内障の進行を抑制できている場合は目薬の治療を継続することをお勧めします。
目薬の副作用がひどく目薬を続けることが困難な場合などに、手術を選択することもありますが、緑内障の病状により対応は異なりますので、詳しくは医師にご相談ください。
緑内障で失明したら回復しますか?
緑内障で失われた視野は戻ることはありません。
ですので、視力低下の自覚症状が出る前に早期発見し、早期に治療を開始し、進行を遅らせることが重要です。
自覚症状が出る前に発見するためには検診を受けるしかありませんので、40歳になったら一度眼科で緑内障検査をしてみることをお勧めします。
緑内障手術をしないとどうなりますか?
緑内障の病状により異なります。 緑内障手術には大きく分けて2種類あります。
主に緑内障初期に行う緑内障点眼の本数を減らす目的で行う手術と目薬の治療だけでは進行が抑えられず視力低下、失明にいたるので、それを防ぐ目的で行う手術があります。
緑内障点眼の本数を減らす目的で行う手術はしなくても点眼をしっかり続けれていれば問題はありませんが、視力低下を防ぐ目的で行う緑内障手術を放置すると、緑内障が進行し徐々に視野が欠け、視力が落ちてくることが予想されます。
どんな目的で緑内障手術を勧められているかによって異なりますので、主治医とよく相談して治療方針を決めましょう。